自己思想ボヤき

ボヤきます

過去の最大価値について

 人間は時に過去を顧みることができる。

「人間は過去から学ぶことができる生物である」と言われる所以でもある。

 しかし過去そのものに抱く感情については目を向けてこなかった。

例えば、昔自分が書いた作文や手紙を見て恥ずかしさを覚える。

ここでの恥ずかしさというのは、今の自分が変化しているから感じるものでもある。

絶えず変化しているからこそ、過去へのなんらかの感情は生まれるのである。

 しかし絶えず変化していくことで埋もれていく感情もある。

愛しさと憧れである。

おそらく、人間ならば一度は過去に戻ってあの頃を過ごしたい、あの時をもう一度味わいたい、と思ったことがあるだろう。

この感情は以外にもすぐに消えるのが一般的であり、普遍的なものとして処理されるため、あまり注目はされない。

だが過去の最大価値はここに潜んでいる。

 過去に憧れるも、時は戻らないという時間の無常さを知り、絶望する。

そしてその絶望から這い上がった時こそ、誰しもが絶望を抱え、みな生きているのだと感じることができるのだ。

私たちは普段、日常から得られる、僥倖や人間的な関わりの中で生まれる嬉しさ、などが作用して潜む絶望は打ち消される。

これにより私達は、普段絶望を感じることなどないのである。

 過去がある故に、我々に媒介する普遍的な負の感情について存在を認識できる。

過去は我々が知りえないことへの、鍵であるのだ。